5月7日の「古いWi-Fiルーターは捨てなさい」では、主にセキュリティ面と電波の使用効率という観点で記事を書きましたが、今回は新しい通信規格が5GHz帯の利用を進めていることとそのメリットについて書いてみます。

IEEE802.11シリーズの規格をまとめると以下のようになります。

規 格 802.11a 802.11b 802.11g 802.11n 802.11ac
最大伝送速度 54Mbit/s 11Mbit/s 54Mbit/s 600Mbit/s 6900Mbit/s
標準化時期 1999年 1999年 2003年 2009年 2014年
周波数 5GHz 2.4GHz 2.4GHz 2.4GHz/5GHz 5GHz
変調方式 OFDM DSSS/CCK OFDM OFDM OFDM
ストリーム数 1 1 1 4 8

2.4GHzは雑踏状態

2.4GHzの電波を使う802.11b802.11gで普及してきた無線LANですが、5GHzの電波を使う802.11aも同時期に標準化されていました。 2.4GHz帯は電話機の無線子機や監視カメラ、電子レンジ等様々な民生用無線機器に使われていましたので、その分通信モジュールが量産されており、レーダー等の特殊用途に使われていた5GHzより安価に製品化できた事情もあったのでしょう。 802.11nの規格が登場するまで802.11a対応の無線LAN機器は殆ど市場に出回りませんでした。

もともと無線LAN以外の民生用無線機器が使用していた周波数帯域に、無線LANが押しかけて来て、急激な勢いで増殖しましたから、電波は非常に混んでいます。

特に電子レンジは強烈です。 電波で加熱調理してしまうわけですから、無線LANの電波の比ではありません。 家庭内で時々通信が途絶えるといった場合、電子レンジが影響していることがよくありますので、ご確認ください。

また、Bluetoothも同じ2.4GHz帯の電波を使っていますので、無線LANの通信を不安定にさせることがあります。 特にVer4.0 BLE(Bluetooth Low Energy)になって、省エネルギーになって劇的に電力消費量が減りましたが、帯域の使い方はぞんざいになりました。 Bluetooth Ver3.0では無線LANと同じ帯域を79のチャネルに分けて、1秒間に1600回使うチャネルを変えて、他の通信に影響を与えないように配慮し、そのうち37のチャネルを子機が親機に接続するときの待ち受けチャネルとして監視して、空いているチャネルに接続するように仕組まれていましたが、Ver4.0では待ち受けのチャネルはたった3つで、どれもモロ無線LANでよく使うチャネルにあたっています。

このため、混雑したWi-Fi環境でBluetooth Ver4.0を使うと無線LAN環境悪影響を与えることがあります。Ver3.0以下は大丈夫ということではありません。 同じ2.4GHzの電波を使う以上混信の度合いを当然悪化させます。 Ver4.0の方が急激にスループットが低下したり、全く通信出来なくなるという状況に陥りやすいように私は思います。

何よりもこの帯域で使用できる周波数帯域幅が83.5MHzしかないので、大量の機器と同時に通信するのは難しいとしか言いようがありません。

余裕の5GHz

  • 長所
  •  この帯域を使う無線機器が少ない(レーダー優先等の制約があるため)
  •  無線LAN機器が未だ5GHzに対応していないものがあるので、その分空いている。
  •  使用できる帯域が380MHzもあるので束ねて高速伝送(802.11ac)が可能。
  • 短所
  •  屋内でしか使えない帯域がある
  •  気象レーダー優先(DFS=Dynamic Frequency Selection) 送信前1分間検出作業必要な帯域がある
  •  周波数が高い分直進性が高く、回折しにくいので、遮蔽物に弱い
  •  伝送距離が短め

欠点を長所に変えて

遮蔽物に弱かったり、伝送距離が短かったりというのは、一般的にはネガティブな表現になりますが、ことWi-Fiに関しては役に立つことがあります。

それは、都会のアパートマンション、学校や教室などでアクセスポイントが林立しているような環境で、電波をコントロールするのに有効です。

距離が伸びず、遮蔽にも弱いので部屋の外に出て行きにくいので、外部への影響を低減できることになります。

電波容量に余裕のある5GHz帯。802.11ac規格の普及とともにますます利用が進むものと思われます。

 

しかし、広い一戸建ての家全体に電波を届かせたいのであれば、802.11nの2.4GHz帯の電波を使うようにして、家の中心に置くようにすると、遮蔽物の影響を受けにくく、広い範囲で使えるようになります。

2.4GHzと5GHz,状況に合わせて使い分けてみて下さい。

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