モノは大切に使うというのは大切な教え。 「Mottainai」という言葉が世界に広がってきているくらい、日本人のものを大切にする姿勢が世界に評価されています。 私も両親にそう教えられてきました。

しかし、敢えて言います。 古いWi-Fiルーターを使い続けてはいけません。 即買い替えてください。

電波の使用効率の問題

量販店のWi-Fiルーター売り場に行けば、店員がカタログスペックに基づいて熱く語り、どれだけ性能がいいかをしつこく説明します。

しかし、規格上の速度は論理値なので、その通りの速度は出ません。

特に802.11n802.11acの高速化技術は複数のチャンネルを束ねて大量に送信することによって、高速化する技術が盛り込まれての最大速度ですから、電波が空いている大草原や田んぼや畑の中の一軒家でもない限り、期待できません。

それでも、初期の802.11bにしか対応できていないようなWi-Fiルーターは11Mbpsの速度しか出ませんので、802.11gの5分の1、802.11nの10数分の1の情報量しか転送できません。つまり、同じ量のデータを転送するのに必要な時間は、最新の規格対応のものと比べると、初期のものでは十数倍の時間がかかることになり、同じWebページを開くのに十数倍の時間がかかることになります。

これを言い換えると、速度が遅いと、同じ情報量の転送でも、長時間ネットワーク帯域を使用することになります。

大草原の一軒家であれば、遅い通信を使おうが、どうしようが個人の勝手ですが、住宅密集地、特に木造アパート等は、各部屋の無線が混在する環境にあります。 同じチャンネルを使用していいるアクセスポイント同士は無線という媒体を共有して、時分割で使っていることになります。

住宅密集地や、商業施設の中で無線LANの設定画面を開けば、膨大な数のアクセスポイントが出来てきます。 それらは各々が無線LANの規格の伝送容量を持っているのではなく、規格の伝送容量をみんなでシェアして使っているのです。 当然その分遅くなります。

そこに電波の占有時間の長い低速の規格802.11bがあると、極端に電波の使用効率が低下して、多くの人が迷惑を被ることになります。

セキュリティ上の問題

公衆Wi-Fiスポットは危険がいっぱい」で説明したように、暗号化の技術は、それを破ろうとするものと日々競争をしている状態ですので、常に最新の暗号技術を使わなければなりません。 速度に関しては他人に迷惑をかけることがあるとはいえ、我慢すればいいというレベルの問題でしたが、暗号化の問題は基本的な通信の安全が確保されないという根本的な問題です。 古いWi-FiルータであればWEP暗号にしか対応していないでしょうから解析ユーティリティーを使えば数分で解読されてしまいます。

さらに、「Windowsの更新(16/04)とNASの問題」で説明したように、802.11b規格にしか対応てきていないような古い機器の場合、内部で動作しているOSと制御プログラム(ファームウェア)に脆弱性を抱えたまま更新されないでいる可能性が高いのです。 WindowsXPのサポートが終わることが大々的に告知されたので、殆どのPCが上位OSに更新をしましたが、機器に組み込まれたOSと制御プログラムは一定期間経過すると何の告知もなく更新されなくなります

多くの機器はLinuxやFreeBSD等のUnix系OSをカスタマイズして使っていますが、これらは常にセキュリティーの向上のための、随時修正がなされています。 それが反映されないまま放置されるということは極めて危険性の高いことです。

特にWi-Fiルーターはインターネットの前面に立たされて家庭や事務所のPCやスマホ等の機器を守る働きをするものですから、ここにセキュリティ上の問題があることは内部ネットワークに存在するPCやスマホを極めて危険な状態に曝すことだと言えます。

 

古いものを大切に使い続けることは、美徳ではありますが、組み込み機器、特にWi-Fiルーターに関しては、3年位で新しい通信規格が加わってきますから、できればそれくらいのタイミングで、遅くても5年以内には思い切って買い変えてください。

 

また、とんでもない事例ですが、ネットが遅いので見てほしいというので伺ってみると、なんとセキュリティの設定をせずに「無料公衆Wi-Fiアクセスポイント」状態になっていて、知らない人が勝手に何人も接続して使っていたということがあります。 遅いだけだったら笑い話ですが、PCへのアクセスの形跡がありましたので、個人情報が流出していた可能性があります。 PCの素の状態だと、細かいログが無いので、情報流出の確認はできませんでしたが。

今一度、ご自宅のWi-Fiルーター等、インターネット接続環境を確認して危険が無いか確認してみてください。

古い機器で、接続のための設定がどうなっているのかわからないけれど、「取りあえずつながっているから」と放置するのはとても危険です。

新しい機器に思い切って交換して、きちんと記録を作ることをお勧めします。

また、メーカーのWebサイトを定期的にチェックしてファームウェアの更新状況をチェックすることも必要です。ユーザ情報を登録すると、更新の連絡をくれるメーカーもあります。

本体にお知らせランプがあって、更新情報を伝えてくれる機器もありますし、本体の管理画面をPCのブラウザで開くと更新情報の有無を教えてくれるものもあります。 お使いの機種がどういう状況で、どうしたら良いのか、今一度ご確認ください。

ご自分で、出来ない場合は、専門業者にご依頼ください。 私共でも承っておりますので、お気軽にご相談ください。

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